ブックレビュー:「ペンギンの憂鬱」
ペンギンの憂鬱
2004.新潮社
原作:アンドレイ・クルコフ
和訳:沼野 恭子
鬱病のペンギンと一緒に暮らす売れない小説家の物語。
主人公のヴィクトルが飼う皇帝ペンギンのミーシャがとても可愛い。
暗く不気味な社会情勢を背景に不条理な日常生活が描かれている。その中にペンギンがいると実に滑稽だけれども、そのアクセントのおかげで所々のシチュエーションが鮮やかに色付いてみえてくるようだ。
部屋を歩き回っているペンギンの足音。
涼しい隙間風を見つけてたたずんでいる仕草。
氷水をはってあるバスタブで喜ぶ様子。
凍った川の氷穴に飛び込み、遊んでいる姿。
主人のひざにお腹を摺り寄せてくる仕草。
これらの状況を想像するだけで微笑んでしまう。
物語は決してハッピーエンドではなく、
暗く不気味な背景の流れのまま終わる。
その後のペンギンがどうなったのかと読者から大きな反響があり、それを受けて続編が出たそうです。
「カタツムリの法則」日本語訳出版が待ち遠しい。
| 固定リンク
コメント
はじめまして。当方のblogへのコメント及びTBありがとうございました。
確かにあの終わり方は非常に唐突な感じが。でもそれがいまだにウクライナにある雰囲気なのかな、とも思ったり。村上春樹の作品の世界に似ているような気もしました。
素敵なblogですね。ペンギンたちが可愛い。絵が「ペンギンの憂鬱」の英語版の表紙に似ています(URLに書いた別のblogでは英語版も紹介しているのでよかったらご参照ください)。
投稿: M | 2005/06/07 17:36
あきらさん、コメントありがとうございました。
TBさせていただきますね。
続編『カタツムリの法則』が待ち遠しいです。
プロフィールのくるくるどっかーん☆がウケました(笑)。
(私の実家は千葉市です。)
投稿: Nao | 2005/06/07 18:41
>Mさん
コメントありがとです。
英語版のカバーみました。各国で全然違うのですね~。英語版はなんかそっけないのですね。日本のカバーのほうが可愛いし、それにちょっとだけシュールな感じもあって小説の世界観とすごくマッチしてるなと思いました。
>Naoさん
コメントありがとです。「カタツムリの法則」いつ頃出るんでしょうかね。本当待ち遠しい。予約したい(笑)
投稿: あきら(本人) | 2005/06/08 11:03