ブックレビュー:「ペンギン―南極からの手紙」
青柳 昌宏 (著)
平凡社
1981年発刊
著者自身の南極での観測・研究にて得られた写真、生ログをもとにペンギンの生態について分かりやすく分析して書かれています。
なかでもアデリーペンギンの子育て観測記禄の2つのつがいのケースについて書かれている部分。相方が戻ってこないペンギンの行動記録は胸を打たれるものがありました。
一月飲まず喰わずで極寒の中、卵を温め、メスの戻りを待ち続けてきたオスが、最後には力尽き、諦めて抱卵を放棄してしまう。そして容赦ないオオトウゾクカモメの襲来に抵抗する術もなく卵を奪われてしまう話。
もうひとつは、入れ違いになってしまったペアのケース。待ち切れなかったオスが巣を去った後、戻ったメスが巣でオスの帰りを待ち続ける、やがて諦めて巣を去るのだが、去り際に後戻りして石を置きなおす仕草があったり。未練たっぷり、哀愁が感じられるペンギンの行動にはどこか人間味を感じます。
こんな記録を読むとさらにペンギンが愛しく感じられます。
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