ブックレビュー:「ギャングエイジ」川端裕人
「ペンギン、日本人に出会う」「ペンギン大好き!」等、ペンギン関連の著書で知られる「川端裕人さん」の新作小説『ギャングエイジ』を拝読させていただきました。
以下僭越ながら、レビューを書かせていただきます。
「前任の先生が失踪した」クラスの担当になった新人教師が学級を再生させていく過程を描いた作品。
小説という形ではあるが、学校教育における「教育現場の在り方・家庭の関わり方」について、鋭く問題提起し、こうあるべきという作者の考えが確と示されている。
ワタシは未だ独身の為、親の立場の経験がなく、学校教育現場の「今」を知りません。そんな私でも、この小説の世界に触れる事により、それとなく現場が見えてきます。そして、何が問題になっていて、どうしていくべきか、自然と当事者感覚になり、世界観に引き込まれてゆきます。
本編中、学校の精霊が登場し、確信的な事柄を語るシーンがあります。その事柄は要約ではありますが、その言葉だけを切り取って、人に言い聞かせても実感をもって受け入れられるのは難しいでしょう。本作品の全編を読む事で、その「要約」が実感をもって受け入れられる、そんな巧みな文章構成を感じます。
序盤、期待感を煽るミステリー的な話の運びが面白い。また、ある問題を抱えた児童の家庭事情に踏み込んでいくシーンでは、幼い子供心に感情移入し涙が出てきました。
ミステリーあり、涙あり、笑いあり。学校教育における「教育現場の在り方・家庭の関わり方」について、一石を投じる内容の本書は、大変読み応えがありました。オススメです。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント